新しいアイデアの創出に向けたワーケーション前編|水上村視察ツアーによる企業誘致施策【Vol.7】
熊本県の東南、宮崎県との県境に位置する水上村。その名の通り球磨川の最上流、水源のある村です。
標高1721mの霊峰市房山の懐に抱かれ、春には市房ダム湖沿岸の一万本桜、秋には彼岸花や紅葉と、四季折々の景色が見る目を楽しませてくれます。
とろりとした軟らかな美人の湯が自慢の「湯山温泉」を楽しめる施設やホテル、民宿も点在し、日常の忙しさを忘れさせてくれる、癒やしの里です。
訪れる人々の心を和ませる水上村。
しかし今や、多くの地方自治体が共通して抱える「人口減少」という大きな問題に直面しています。
村の人口は現在、約2100人。特に地域づくりの担い手不足は、村の将来を揺るがしかねません。
水上村はこの人口減少に歯止めをかけるべく、2022年4月に「地方創生推進課」を新設。
新たな人の流れをつくり出す「関係人口」の創出・拡大に力を入れています。
今回は、水上村で「お試しサテライトオフィス(水上村視察ツアー)」を22年6月に体験した「セガサミーホールディングス株式会社」の笠井敬博さん、髙橋哲也さん、可部良平さんの3人を密着取材しました。
水上村チャッカソンで誕生したサテライトオフィスとは?
人口減少に拍車がかかる水上村。
その課題解決の一手として、壮大なプロジェクトが動き出しました。
発端となったのが、20年10月に水上村で行われた企業誘致を成功させるための会議「チャッカソン」(アイデアとマラソンからなる造語「アイディアソン」と「着火」を組み合わせてできた言葉)。
水上村職員をはじめ、教育委員会、地元企業、地域おこし協力隊、IT企業など、水上村を盛り上げたい有志が集まり、「水上村の魅力を存分に生かせる企業誘致施策」が誕生しました。
主な施策は以下の通り。
・お試しサテライトオフィス
・水上村でととのう”Totonou”|天空のサウナ
・空き地・空き家の有効活用
・5Gインフラ整備の実現
・2030年に目を向けた実証実験の村づくり
この記事では、本格始動した「お試しサテライトオフィス」について紹介します。
これまで行われた「チャッカソン」の様子や他の施策が気になる方は、以下の記事をご覧ください。
セガサミーホールディングス株式会社がワーケーションを体験
今回、ワーケーションを利用したのは、総合エンタテインメント企業「セガサミーホールディングス株式会社」。
ゲームを中心とし、キャラクター“ソニック”でもおなじみの株式会社セガと遊技機開発から販売までを手掛けるサミー株式会社が2004年に経営統合。現在はゲームを中心としたエンタテインメントコンテンツ事業、遊技機事業、リゾート事業を3本柱に、幅広いエンタテインメントを提供しています。
同社から水上村へ足を運んだのは、人財開発本部に所属する笠井敬博さん、髙橋哲也さん、可部良平さんの管理職の皆さん。
人事戦略について集中して議論する場を探していたところ、水上村のワーケーションのことを知り、「日頃と全く異なる場に身を置くことで、新しいアイデアの創出につなげたいと、参加を決めました」と髙橋さんは言います。
「私たちが今回のワーケーションで話し合いたかったのは、2027年の次の中期戦略に向けた人事ブランディング」と話す笠井さん。
「目の前のことではなく、先のことを想像しながら発想していくには、距離的にも物理的にも日常と分離することが大切です。議論を深めるには、大自然の中にある水上村の環境は最適でした」と続けます。
宿の窓を開け放てば、辺り一面に響き渡るカエルの鳴き声、視界いっぱいに広がる段々畑の風景―。
住民にとっては当たり前の風景も「われわれにとっては、全てが新鮮。新しい発想への刺激になりました」と笠井さんは満面の笑みを浮かべます。
また、水上村到着早々、村の観光名所の一つ、白水滝の吊り橋に訪れた3人。
長さ120mの白龍妃橋(はくりゅうひばし)は、透明な床板が設置してあり、真下の滝つぼまで150mとスリル満点!
3人で恐る恐る橋を渡り、「まさに吊り橋効果。非日常的な行動をともにし、3人のチームビルドにもつながる体験になりました」と可部さん。
3人で顔を合わせ、腹を割ってディスカッションするための準備運動になったようでした。
ITインフラ環境が整ったワーケーションスペース
「お試しサテライトオフィス」の拠点となるコワーキングスペース石倉交流施設は、米倉庫をリノベーションしたモダンな造りが印象的。
天井が高く、机と椅子を並べても100人ほどを収容できる広々としたスペースで伸び伸びと仕事をすることができます。
高速Wi-Fiやプロジェクター、スクリーン、ディスプレイ、ホワイトボード、音響、ウェブ会議用の個室なども完備。
「仕事をする環境としては、何一つ不自由していないというのが素直な感想。非日常的な空間だけど、利便性を失っていないのがいいですよね」と笠井さん。
「お試しサテライトオフィス」のプログラムでは、石倉交流施設をコワーキングスペースとして利用できるほか、自治体や地域住民と触れ合う場の提供や、水上村の名所案内などもプランニングされています。さらに、おいしい食事や心安らぐ宿泊施設なども手配してもらえるのもうれしいポイント。
「自然豊かな水上村で暮らし、働き、そして遊ぶ」ことを具体的にイメージすることができるのが、この「お試しサテライトオフィス」なのです。
アイデア飛び交った懇親会
「お試しサテライトオフィス」では、自治体や地域住民と地元のおいしい食事、お酒を囲んでの懇親会も用意されています。
石倉交流施設から徒歩圏内の飲食店にて。地産地消の料理や地酒の球磨焼酎を楽しめます。
ワーケーション2日目は、水上村職員とともに地元食材をふんだんに使った料理を堪能。
球磨焼酎も進み、盛り上がりを見せていました。
水上村で鹿肉などのジビエ料理の活用が広がっていることを受け、
「都会では、ジビエ料理を食べたいと思う人が多いと思う」と話すセガサミーホールディングスの皆さん。
「ぜひ社員食堂で水上村の食材を使ったフェアを行いたい」など、交流を深めることで、水上村の魅力を生かしたさまざまなアイデアも飛び交っていました。
水上村自慢の自然や新スポットを巡るツアーへご案内
懇親会翌日は水上村の自然や、スポーツジムなどの新しいスポットをめぐるツアーへご案内。
まずは村を代表する市房山へ。
3合目から市房山神宮のある4合目までを散策し、プチ登山を楽しみました。
幹周り3m以上もの巨大な杉が約40株も参道に立ち並ぶ様子は圧巻。
樹齢1000年を超える杉に手を当て、思いっきり森林浴を楽しんでいる様子が印象的でした。
幹回り6m以上のものは「市房杉」と呼ばれています。
またこの春オープンしたばかりのトレーニングジム「SAKURA VILLAGE」へも足を運びました。
水上村民の健康・体力の増進を目的として、整備された公共施設で、村外在住の人々も利用できます。
施設では長さ25mの歩行用温泉プールや最新のトレーニングマシーンをはじめ、酸素ルームも利用できるという充実ぶり。
また、施設の徒歩圏内には温泉施設や足湯、サテライトオフィス予定地もあり、「足湯につかりながら、会議するのもいいですね」と談笑する3人。
可部さんは「東京で接する自然3年分くらいを堪能できました(笑)。次回、来たときはぜひ市房山の山頂まで行きたいですね」と話してくれました。
【後編へ】
地方でのリモートワークを体験したいあなたを水上村がお待ちしています
都会の喧騒から離れて、大自然の中でリモートワークや社員ミーティングを行いたいと考えている方は、役場全面協力の「みずかみのワーケーション(お試しサテライトオフィス)」を体験してみませんか。
詳しい応募方法やツアー概要は「みずかみのワーケーション公式サイト」へ。
水上村の自然や人々があなたを温かく迎え入れ、身も心もじっくりほぐしてくれます。
役場職員や地域住民が、皆さんのお越しを心からお待ちしています。